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28話 話し合うこと、分かりあうこと

Aвтор: ニゲル
last update Последнее обновление: 2025-05-05 07:07:39

「へぇーじゃああの二人は仲直りできたってこと?」

翌日の日曜日。私達は勉強会を開いていた。といったものの主に私が波風ちゃんに教えてもらっているのだが。その過程で息抜きにお菓子でも食べようという話になりこうしてドラッグストアに買い物に来ていた。

「あっ! 高嶺に波風じゃない!」

お菓子コーナーを物色していると偶然朋花ちゃんに出会う。

「あの……弟は大丈夫だった?」

昨日朋花ちゃんの弟は警察に保護された後に病院に運ばれた。私達はその後の事は知らない。すぐに手当てしたとはいえ二日近く放置されたのだ。重大な後遺症が残っていても不思議ではない。

「とりあえず命に別状はないし後遺症とかもないって。退院は様子を見て三日後だって先生が言ってた」

「ほっ……それは良かった」

「あれ? 何で高嶺がそのこと知ってるの?」

「あっ……それは……」

ドンッと波風ちゃんの肘が私のお腹に突き刺さる。

[何ポロッと失言してんのよアンタ!]

[ご、ごめん波風ちゃん〜弟君のことがつい気になっちゃって!]

[はぁ……アタシが誤魔化すからこれ以上余計なこと喋るんじゃないわよ]

「昨日のキュア配信に弟君が助けられる姿が映ってて。でもその後は映ってなかったからどうなったのか心配で……」

「えっ、そうなの!? 見てなかったから知らなかったよ……まぁとにかく弟を助けてくれたんだしキュアヒーローには感謝しないとね」

なんとか誤魔化せた。それにしても本当に私はついうっかり失言してしまうことが多い。

(気をつけないと……)

「あっ、今手に持ってるのってもしかして弟君に持ってくの?」

「そうだけど……あ、高嶺と波風も来る? そうした方がアイツ喜ぶと思うしさ」

「もちろん行くよ! 波風ちゃんも行くよね?」

「当たり前でしょ? 仲間外れにするつもり?」

軽口を叩きながらも波風ちゃんも快くついて来てくれる。会計を済ました後私を先頭にしてドラッグストアから出る。

「きゃっ!!」

しかし私は大柄な人にぶつかってしまい大きくよろめく。

「またお前か……」

小さく溜息を吐くそのぶつかった相手は健橋先輩だった。相変わらずの体幹で向こうは全くよろめいていない。

「ひっ……鬼の神奈子……!!」

彼女の寝不足が拍車をかける恐ろしい形相を見て朋花ちゃんは体を震わし
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